[読書]恒川光太郎『夜市』

夜市

夜市

 夜市、それは望むものが手にはいる場所。かつてそこで弟と引き換えに野球の才能を手に入れた男が再び夜市を訪れ、弟を取り戻そうとするが…。
 第12回日本ホラー小説大賞受賞作。ホラーというが恐さはまったく感じなかった。幻想的な雰囲気の楽しめる作品だった。日本ホラー小説史上最高傑作などと言われているが、少し期待はずれだった。まぁ僕が期待しすぎたのが悪かったのだろう。
 収録されている「風の古道」の方が個人的には好み。こちらもホラーといった要素はない。人が滅多に入れることのできない道に入ってしまいあれこれする話。御都合主義的な話にならず無常観みたいなものが感じられて面白かった。
(荒)