脳Rギュル
- 作者: 佐藤大,わんぱく,夢野久作
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 155回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
少しスタイリッシュ(?)というか、お洒落さを醸しだし過ぎじゃないかと思う。
もちろん、懐中電話に「ケータイ」と、三文小説に「ラノベ」とルビをふるようなお遊びが嫌いなわけでもないし、
特徴的な擬音使いで飾られているのも嫌な気はしないし、
文体のアクの強さは、夢野久作に負けずとも劣らじと言ってもいいのだろう(言い過ぎだろうか?)が、
『跳訳』つまりは、夢野久作の「人間レコード(多分、少女地獄の影響もある)」作品の一つの訳だと、
どうして言い張らなくてはいけないのだろうか? いや、跳訳って言葉が使いたかっただけなのか?
『跳訳』をしたことがないのでどうにも判断しかねるが、これは果たして訳だろうか?
「訳じゃなくて、モチーフだ」と言った方がいいのではないか?
と、始めは小難しいことを考えてましたが、面白いです。跳躍とかどうでもいいです。エロいです。
終盤のギヤマとオトラの『幼女売春、これは捕まる!』という風なシーンや、序盤(?)の博打のシーンなど、
無駄に白熱するシーンが満載です。
ヒロインの下半身が熱くなると……とか、武器が男性器の形だ……とか、脳Rとか。
とにかく、エログロナンセンスで、ラノベとして読むと痛い目を見る人もいるかもしれませんね。
しかし、そのエロさや、グロさや、文体や作品アクの濃さがこの作品の魅力だと言ってもいいくらいですね。
あと、付け加えると設定が凄く大正浪漫的です。…………ああ! だめだだめだ!
ヒロイン可愛いで締めたら、いい加減ご先輩の方々に何か、『太いモノ』を口から突っ込まれて、『ズドン』とやられそうです。
まぁ、それでも、数少ないラノベなんですし、ヒロイン話で締めましょうか。
シイが大好きです。このどことなくボケボケした感じと生暖かいエロさが素敵です。
第二十三章401Pでさりげなく良い思いしてるギヤマが許せません。いや、なにが許せないんでしょうねホントに。
きっと、2巻も読むことでしょう。そして、この感想文には反省文が必要そうです。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/08/28
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 851回
- この商品を含むブログ (82件) を見る
実験小説と一言で終らせてしまうのも、「ああ、近年筒井氏が『俺これからラノベ書くから』と言い始めた原点がこれか、
そう、言ってしまうのもアレなので他の点に触れます。
なんと言ってもこの作品は視覚的要素が多いに活用されていて、それだけでも十分面白い。
特に、ココココココココココココココココココココココと針を飛ばすホチキスが自分の中でのザ・ベスト・オブ・ブングですね。
始めのコンパスから続いて、狂いっぱなしの文具たちですが、最後の戦争あたりになると、だんだん正気を取り戻してくるヤツがいるから不思議です。
「こんな472Pも書いて、結局文具の戦争かよ!」とバカバカしさもありましたが、
それにしてもそのバカバカしさをこうした読み応えのある作品に仕上げてしまうのはさすが筒井先生凄いと思いました。
一つ一つ狂ったヤツがでるたびに異様な爽快感があって、気づいたら最後のページをめくっているような素晴らしい作品でした。
ちなみに第二章ですが、これはやはり現代の人間(地球か?)のパロディーであってるんですかね?
第三章で、筒井らしき人がぐだぐだ語ってますが、どうなんだろう?
とにかく、虚航船団の逆襲も読んでみてから、判断をつけることにします。
PS:ちなみにキャラのかき分けがしっかり為されていて、今後の筒井ラノベにも少しだけ期待感を持ちましたよ。
(大)