異色作家短編集20 エソルド座の怪人
- 作者: G・カブレラ=インファンテ・他,レイモン・クノー,ナギーブ・マフフーズ,若島正
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/03/31
- メディア: 単行本
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「ケルベロス第五の首もデス博士も、意味わかんねーよ。あと、双生児も」
というような話をすると、いつも「おまえが馬鹿なだけ」と返される幻想文学が苦手な自分が、若島正編集の短編集を楽しるのかどうか不安だったけど、これはおもしろかった。
世界編ということで、ノーベル文学賞作家も幻想作家もエンタメ作家もごっちゃまぜ。
制約が無いから、これだけおもしろい短編を集めてこれたんだろうな。
たしかに理解不能なオチの作品もいくつかあったけど、だいたいはキュッと絞まった小粋な短編。
中でも人造ネコ型フランケンを造るロバートソン・ディブス「トリニティ・カレッジに逃げた猫」には笑った。
「ウマイ!」と感心する話は異色作家短編集でいくつも読んだけど、笑える話はなかなか無い。
これは本当におもしろい。
あと、風間賢二の解説がすごく良かった。
最近「異色」とか「異端」とか「奇想」とか、そんなんばっかでてるけど、なんでやねん。という疑問にすんなり答えている。
「ネタがないんだよ。出版業界はw」
「現代において、ハイカルチャーもサブカルチャーも、つまりは相対化されてしまったんですよ……」
なんてウザイ答えはいくつも読んだり聞いたりたけれど、風間賢二の解答にはストンと納得。
解説だけでも読む価値ある。
(久)