異色作家短編集20 エソルド座の怪人

エソルド座の怪人 アンソロジー/世界篇 (異色作家短篇集)

エソルド座の怪人 アンソロジー/世界篇 (異色作家短篇集)



ケルベロス第五の首もデス博士も、意味わかんねーよ。あと、双生児も」
というような話をすると、いつも「おまえが馬鹿なだけ」と返される幻想文学が苦手な自分が、若島正編集の短編集を楽しるのかどうか不安だったけど、これはおもしろかった。
世界編ということで、ノーベル文学賞作家も幻想作家もエンタメ作家もごっちゃまぜ。
制約が無いから、これだけおもしろい短編を集めてこれたんだろうな。
たしかに理解不能なオチの作品もいくつかあったけど、だいたいはキュッと絞まった小粋な短編。


中でも人造ネコ型フランケンを造るロバートソン・ディブス「トリニティ・カレッジに逃げた猫」には笑った。
「ウマイ!」と感心する話は異色作家短編集でいくつも読んだけど、笑える話はなかなか無い。
これは本当におもしろい。


あと、風間賢二の解説がすごく良かった。
最近「異色」とか「異端」とか「奇想」とか、そんなんばっかでてるけど、なんでやねん。という疑問にすんなり答えている。
「ネタがないんだよ。出版業界はw」
「現代において、ハイカルチャーサブカルチャーも、つまりは相対化されてしまったんですよ……」
なんてウザイ答えはいくつも読んだり聞いたりたけれど、風間賢二の解答にはストンと納得。
解説だけでも読む価値ある。


(久)