ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』

タタール人の砂漠 (イタリア叢書)

タタール人の砂漠 (イタリア叢書)


明日には何か起こるはず。
あの砂漠からタタール人が攻めてくるはず。
国境沿いの砦を守る、兵士の幻想の物語。


『グレート・ギャッツビー』のギャッツビーは幻想を求めて走り続けたけど、『タタール人の砂漠』の主人公は幻想を求めて待ち続ける(逆方向を向いているけれど、この二人、そっくりな気がする)。
タタール人が攻めて来るなんて、絶対ありえないと分かっているのに、心のどこかに残った期待が、彼を砦に縛り付ける。


将来に向けて人生を設計中のおれたちには、とっても怖いお話だった。
ここで比喩されているものを凝視しちまったら、身動き出来なくなっちゃうぜ?


(久)