十和「クリアネス〜限りなく透明な恋の物語〜」

例えどれだけ不幸でも、他人を不幸にする権利はないというお話。
さて、今週の一冊。

クリアネス―限りなく透明な恋の物語

クリアネス―限りなく透明な恋の物語

ジャンルは恋愛小説…らしいです。
若者の感性に訴えた作品ということなのですが―――どうやら私はかなり、ご老体の模様。
以下、完全に私個人の愚痴なので、この作品に思い入れのある方は読まない方が吉。

肯定的な意味での感動はありませんでした。
むしろ、愛と己の不幸を言い訳にすればここまでヒドいことが出来るという一例を見た気がします。
主人公ふたりにはHAPPY・ENDかも知れませんが、周囲の人間にとってはBAD・END以外の何ものでもないという展開。
主人公の片割れはちゃんと罪を償いにいくのですが、もう片方はその気配0。
責任を負うことも更々なく、周囲に赦されてばかり。お人好しだらけ。
もっとも、フィクションの世界に倫理や法を持ち込むとややこしいのですが。
もし、これが感動を呼ぶとしたら、恋愛部分ではなく、赦しとしての部分でしょう。
つまり、人間関係の齟齬や、己の苦悩、善悪その他諸々が「恋愛感情は美しい」という一点に於いて、全て赦される(解決される)というスペクタルが感動を生む可能性があるのではないかと愚考。
まぁ、感情のサンプルとして有益な本だったとは思います。

蛇足
・図書館や人から借りる事を推奨。この内容でこの値段は高い。Webで読めますし。
・珍しく辛口。まぁ恋愛小説が肌に合わないというのもありますが。
・ならなんで読んだかと言えば、大人の事情。
・本日は早朝(F)