石塚京助・黒崎緑・仲井紀夫・結城真子『こわい話をしてあげる』

―――そりゃあ人間さね。

さて、今週の一冊。

アンソロジー集。恐いというよりは、嫌悪感・忌避感の方が強いです。
各編タイトルは「獣がいる」「熱風」「症候群」「優しい友人」
「獣がいる」は悩みを消してくれる獣の話。「熱風」は家庭内サスペンス。
「症候群」は荒唐無稽で、ホラーですらないのですが、読後に引っ掛りを残す印象。
「優しい友人」に至っては現実と地続きのような迫り方があります。
4編とも、時事ネタ(1991)の色濃い作品で、当時に読めば明日は我が身的な、生々しさがあったかと。
タイトルと装丁は幻想色が強いののですが、いざ読むと内容にのギャップを感じるかもです。
血の気も凍るようなではなく、生暖かい風を浴びるような、そんな絡み付く様な本なので人を選ぶかと。

蛇足
・古い本なので入手はほぼ無理。図書館で探しましょう。
・タイトルに偽りありと言わざる得ない。
・画像は出せなかったけど、装丁は好み。
・最近、夜にギリギリ更新することが多いです。どうしたものか。(F)