アントワーヌ・アンリ ジョミニ『戦争概論』
- 作者: アントワーヌ・アンリジョミニ,佐藤徳太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: 文庫
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19世紀以降の軍事理論を創始したクラウゼヴィッツと同時代の人間であり、彼の『戦争論』と共に軍事という分野を体系的な学問にしようと試みた軍人がジョミニである。
クラウゼヴィッツが戦争を政治外交の延長として扱い戦略を通常よりも複雑なものとして捉えるべきとしたのに対しジョミニは突き詰めれば戦争には不変の一般法則がありそれを踏まえれば戦争に勝てるようになると主張した。
こうして比べて読んでみるとその主張の違いも面白いが、その書き方も当時のプロイセンの流行の弁証法で書かれている『戦争論』に比べても読みやすいものになっているのも興味深い。
当時でこそ世の中の軍人の支持を二分したこの二つの説であるが、現在においては東西問わず軍事・外交理論として残っているのはクラウゼヴィッツの方である。
だがジョミニの幾何学的な考え方はアメリカ海軍大学の創立に尽力を尽くしたアルフレッド・マハンの海軍理論に活用され、今でも地政学の海洋国家のシーパワーという概念として残っている。
海上封鎖の概念なども言ってしまえばジョミニが祖であり、その辺り興味ある人にも参考になるだろう。