蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集―魔像』


蘭郁二郎は前期と後期で作風が変化していて、前期が怪奇幻想小説、後期が空想科学小説を書いていた。
この作品集には前期と後期、どちらもバランスよく収録されている。
ここでは前期の方について紹介していく。
前期の作風は、ドロドロとしたエログロな世界を書いている。人物は変態的な趣味を持っていたり、現実世界から抜け出して幻想の世界に入っていったりする。
江戸川乱歩夢野久作の作風が好きな人は、気に入ると思う。
以下ではどんな短編が収録されているかを紹介していく。
息を止め続けることによって、夢の世界へ入り込んでいく男の話。
夢で見たことが現実になり、次第に現実と幻想の区別がつかなくなり、精神を病んでしまった男の話。
人をひき殺すことに執り付かれた機関車運転手の話。
自分で銭湯を作り、浴槽の下に隠し部屋を作って、そこから一日中、女湯を覗いている男の話。
死体写真を撮ることに執り付かれた男と、その友人の話。
サーカス団を舞台にした、マゾの醜男と、サドの美女の、変態的恋愛を書いた話。
など。

(鈴)