谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』

坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い。
だけど、袈裟には何の罪もなくて、こっちをなんとも思っちゃいない。
吊るされた袈裟相手に一人相撲。

さて、今週の一冊。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

今更、の一言。なので、少々変則的な話を。
この作品群は、極めて商業的に成功した作品、です。
小説の売上にはじまって、二次創作、漫画化、ラジオ番組、アニメ化、音楽、etc.
一部の層に圧倒的な知名度を誇りました(現在は緩やかに沈静化しつつあります)。
小説第一巻を偶然目にして、発売日初版で買った身としては、色々と感慨深いものがあります。
(メジャーデビューをするインディーズバンドの結成当時のからファンの気持ちに近いかも知れません)。
さて、こう作品として拡大していくと、当然、多くの人の目に触れます。
小説を手にする人もいますが、アニメで見た人、ネット人気で知った人、OPソングを店頭で聞いた人、と出会い方も様々です。中には、最近のSFとして知った人もいるでしょう。
そして、そこに確実に齟齬が発生します。
例えば、小説の「ハルヒ」ファンとアニメの「ハルヒ」ファンでは捉え方・印象・細かい設定が違うでしょう。
同じ、「ハルヒ」の話をしてたら、実は微妙に食い違ったり、話が明後日の方向にいったりします。
それだけならまだいいのですが、相手は原作ではないから間違ってると言ったり、アニメを見ないのは勉強不足だという話になれば大変です。その不和は下手な宗教戦争並に遺恨を残します。
これは何もこの作品に限ったことではありません。他のアレやソレやでもよく聞く話です。
更には、ジャンルレベルでも言えることです。
このジャンルを読むなら、これを押さえておこうというものはありますが、押さえない人はクズみたいなことを言い出せば本末転倒です。
多メディア化・肥大化した存在は、その「本質」が見えなくなることが多々あります。人によってポイントは違うでしょう。
その作品、ジャンルを愛するなら、その辺りの誤差を笑って許せる度量を持ちたいものです。

蛇足
・出版社のプッシュは、まだまだ続いてます。入手は呆気ないほど簡単。
・レビューというより、愚痴になってしまった…。ハルヒあんまり、関係ない。
・でも、常々思ってることではあります。
・著者近影はだんだん頭髪に異常が…かなり苦労してる模様。
・面白くなるのは4巻から。ラノベはスタートダッシュの遅い作家が多いです。
・他著に「絶望系 閉じられた世界 (電撃文庫 1078)」「学校を出よう!―Escape from The School (電撃文庫)」「電撃!!イージス5 (電撃文庫)」(F)