ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン『地球人のお荷物』

地球人のお荷物―ホーカ・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

地球人のお荷物―ホーカ・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)


名作コレクションの一冊。コントSF。惑星トーカの原住民ホーカは抜群の記憶力と奔放な想像力と何にでも熱中する性格の持ち主。惑星トーカに不時着した調査隊員アレクサンダー・ジョーンズはそこに不思議な文化を見る。トーカたちは、ウェスタンハットをかぶり爬虫類の馬を操り、西部劇に熱中していたのだ。
それから色々あって、タナボタ的に全権大使として活躍することになった主人公だったが、ますますトーカたちに振り回されることになって……。


何も考えず、笑って読めば良いSF、だと思っていたが、アンダースンらしくきっちり問題点を提示してくる。『地球帝国秘密諜報員』にも見られる問題、「地球人の傲慢」についてだ。『地球帝国秘密諜報員』でも本書でも、地球は銀河系の一大勢力となっていて、管理組織内の有能なあぶれ者が地球帝国のやりすぎに疑問を抱く、という方式。アンダースンは当然、地球帝国=アメリカ帝国と言いたいのだろう。

まあ、とにかく、本書は笑えるし、メッセージ性という点でも読める、いいSFだった。笑える本は読んでいて気楽だから大好き。『地球帝国秘密諜報員』のあとがきで浅倉久志さんが「売れればシリーズ続刊されるよ」と書いていらしたので、ドミニック・フランドリーシリーズ、ホーカシリーズともに、売れることを望む。みんな買ってね。



(久)