小川未明「時計のない村」

『SFセレクション1 時空の旅』に収録。

時空の旅 (SFセレクション 1)

時空の旅 (SFセレクション 1)

ある村には時計がひとつもなかった。はっきりとした時間はわからなかったが、村人たちは特に不自由なく暮らしていた。ところがある日、金持ちAが村の中に時計を持ち込んだ。それ以降、金持ちAの時計が、村での時間の基準になった。そうした中、もうひとりの金持ちBが、違った時計を村に持ち込んだ。ところがここで問題が発生した。金持ちAと金持ちBの時計は、30分ずれていたのだ。すると金持ちAと金持ちBの時計以外、村には時間を測るものがないので、どちらの時計の時間が正しいのかわからなくなってしまったのだ。そしてついにどちらの時間が正しいのかをめぐって、村では争いが起こってしまった。そうした中、ついに解決策が考え出された……。

(鈴)