ミヒャエル・エンデ『鏡のなかの鏡―迷宮』途中まで

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)


この作品は前から読みたいと思っていました。自分の中でこの作品に対する期待は大きく、「きっと幻想的で素晴らしい作品に違いない」と思っていたのです。
本作は30の連作短編が収録されており、各短編には直接のつながりないのですが、何か各短編の持つ雰囲気に共通するものを感じさせます。その作品世界はどういったものかというと、硬質で少し幻想的で、夢の中の世界、特にどこか不安を感じさせるような夢の中の世界という感じです。明確なストーリーに予想外のオチ、奇抜なアイデア、といった風な作品ではありません。
感想としては、作中で展開される風景のイメージには割りと魅力を感じるのですが、人物たちのやりとり、展開にはあまりおもしろさを感じませんでした。脈絡のない、不安感が強く漂う夢の中の世界に、いまいち入り込めませんでした。
どちらかというと、それぞれにちりばめられている暗示や象徴を読解し、解釈していくべき作品なのかもしれません。
図書館で借りた本なので、結局最後まで読む気も起きず、途中まで読んで返却してしまいました。

(鈴)