田中哲弥「やみなべの陰謀」

Fです。
箸で掴めないものを入れるのはどうかとか
当時の自分に色々忠告したい気分です。

今週の一冊。

やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)

やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)

タイトルの通り、混沌とした内容の短編集。収録数は都合五つ。全体としてはSF。
一見、5つのジャンルさえばらばらな作品群なので、最初は繋がりが見えて来ない。
2話、3話と読み進めて行く内に徐々に輪郭が浮かび上がって来、
最終話を読みきった時には、全編が緻密に全て繋がっていることが判るという仕掛け。
最終5話以外は、独立し短篇としても十分に楽しめるものとなっているのも良い。
ただ、SF的説明部分が大分ぼかした言い方をしているので、理解には結構手間が掛かるので注意。


蛇足
・新装版はつい二ヶ月前に出たので、入手は容易。
・新装版の帯だとまるで故人のような扱いですが、まだピンピンしている筈。
・旧版は電撃文庫。正直、電撃読者にコレはウケないと思うので早川にして正解ですな。
・作者は「大久保町の決闘 (電撃文庫)」をはじめとする「大久保町シリーズ」で有名。