ワイドスクリーン・バロックと『パラドックス・メン』

我々が発行している同人誌<ASOV>の、今度の特集は「ワイドスクリーン・バロック特集」です。
で、『虎よ、虎よ!』、『非Aの世界』、『キャッチワールド』など、特集で取り上げる作品を決めた訳です。
しかし、最も重要であると思われる作品が抜けている訳です。
その作品が、チャールズ・L・ハーネスの『パラドックス・メン』です!
そもそも、「ワイドスクリーン・バロック」という言葉が初めて使われたのは、ブライアン・W・オールディスが『パラドックス・メン』の序文で、この作品を評する際に使ったのが最初です。
つまり、『パラドックス・メン』こそがワイドスクリーン・バロックの源流であり、究極の作品なのです!
しかし!なぜか日本ではこの作品は翻訳されていなんですね。
作者であるチャールズ・L・ハーネスは日本ではあまり紹介されておらず、本になっているのは、長編が『ウルフヘッド』(サンリオSF文庫)、短編が『20世紀SF①1940年代 星ねずみ』(河出文庫)に収録されている「現実創造」と、『時間SFコレクション タイムトラベラー』(新潮文庫)に収録されている「時間の罠」のみ。さらに現在、新刊で手に入るのは『20世紀SF①1940年代 星ねずみ』のみ、という状況です。
部室には『ウルフヘッド』があるので、今回の特集で取上げようかな、と考えていたのですが、どうやらこの作品はワイドスクリーン・バロックじゃないらしいんですね。ハーネスの作品はすべてワイドスクリーン・バロックだ!とか思ってたのですが。
という訳で、『パラドックス・メン』をぜひとも読んでみたいので、どこかの出版社(早川とか創元とか国書とか)で出してくれ。