書誌学者森銑三の『書物』

書物 (ワイド版岩波文庫)

書物 (ワイド版岩波文庫)



近世史研究家の森銑三柴田宵曲の二人が「書物」を語る、本のための本といったエッセイ集。ワイド版で目にやさしいです。
収録されているサブタイトルには「書評」「雑誌」「装丁」「図書館」「良書とはなんぞや」というような、本好きの人なら一度は考えた事があるだろうテーマばかり。それを書物の碩学がやさしく語ってくれるという、この贅沢。

森銑三の著書には他にもおもしろいものが多くあります。森銑三の手による怪奇小説をあつめた『新編 物いう小箱 (講談社文芸文庫)』や、江戸期、社会になじめなかった個性的な人々の烈伝である『近世畸人伝 (岩波文庫)』、同じく明治期の『新編 明治人物夜話 (岩波文庫)』。
こういう列伝を読んでいると、他の人物伝も読みたくなりますね。すくなくとも私はそうでした。それで手を広げて紀田順一郎にっぽん快人物烈伝 (旺文社文庫)』、畸人研究学会定本 畸人研究Z (ちくま文庫)』、さらには山田風太郎の人間臨終図巻などなど。

まだまだ読みたい本がたくさんあります。ほんとにこのジャンルは際限がない。それだけ世の中には畸人がいるのです。
この先きっと、又吉イエスさんあたりも収録されるでしょう。ぜひ読みたいです。


(久)