カレル・チャペック

山椒魚戦争 (岩波文庫)

山椒魚戦争 (岩波文庫)

山椒魚に関する論文、新聞記事、講演会の記録などを随所にちりばめながら、物語を構成している。
山椒魚は、労働力として、人間に逆らうことなく働いていた。しかし山椒魚の数が莫大になっていき、ついに人間に反乱を起こす。そしてその後、人間と山椒魚の間で戦争が起こる。
山椒魚は文学・芸術・宗教などの文化的な事柄に興味がまったく無く、科学技術などの合理的なものにしか興味がない。さらに人間に戦争を仕掛けた理由も、ただ単に山椒魚の数が莫大になり、生息できる河岸がさらに必要になったので、領土の受け渡しを求めたにすぎない。そうした、徹底的に合理的な性格というのがおもしろかった。
最後の方は「作者が自問自答する」とかいう章が出てきて、文字通り、作者が自問自答して無理矢理、結末に持っていっている。そうしたことも含め、物語の構成のバランスが悪いな、と思った。