時代小説とか色々読んだよ。これからも読んでいくよ。

kubokiです。
今年の年明けだったか、SF研が創立してたった数年のころのOBの方々とお会いして話を聞く機会があったのですが、その際「今はどういった本を読んでるのですか」と質問したところ、帰ってきた答えのほとんどが時代小説。それも藤沢周平山本周五郎……などなど。
なんか複雑な気分になりましたが、わたしもその年代になったらきっと時代小説を読んでいるのだろうから、どうこう言うのはやめましょう。今週の週間文春が時代小説の特集を組んでいたりと、ちょうどいい機会なので色々読んでみました。




津本陽柳生十兵衛七番勝負
NHKでシリーズ2作目が放映中の本作。様式化されていない本物っぽい殺陣がドラマの見所だと思うのだけど、その殺陣が原作でどうなっているかというと、連作短編の体裁のこの小説、文字が大きく見やすい本なのに、短編1つ30Pにつき殺陣のシーンはたったの3Pに満たないのです。極端な場合1Pも無いのだから驚きます。そしてそのたった1Pの中にドラマと同じ複雑な殺陣が展開されているのだから、さらに驚くのですよ。北方謙三によると、こういうのを「行間で戦う」と評するらしいです。至言。




隆慶一郎吉原御免状 (新潮文庫)
宮本武蔵に育てられた主人公・誠一郎は武蔵の遺言に従い吉原に住む謎の老人幻斎をたずねる。即効で誠一郎を狙うが返りうちに会いっ放しの裏柳生、幻斎の正体と吉原創立の目的、誠一郎の出生などなど。 士農工姓エタ非人、当時の社会身分の全てが入り乱れるスケールのでかさと史実の裏をつく視点の鋭さに読者の脳はギュルンギュルン。殺陣あり濡れ場あり泣かせ所あり、密度の濃い400ページ。お得だて。




関川夏央おじさんはなぜ時代小説が好きか (ことばのために)
うぉ! 間違ってた。わたしが読んだ上記二冊、時代小説ではあるけど、その中でも剣豪小説なのか!! おじさんが好む町人物人情物の時代小説とは一線を画するわけかあ。わたしがまだまだ若いっていう証拠ですね。
山本周五郎吉川英治司馬遼太郎藤沢周平山田風太郎長谷川伸などの作品を切り口に章立てて論ずる文学論、社会論。作品毎の時代背景を解説してくれていたりと、実は時代小説を読んだことの無い若者向けの本だったのね。勉強になった。







柳生十兵衛七番勝負

柳生十兵衛七番勝負

吉原御免状 (新潮文庫)

吉原御免状 (新潮文庫)

おじさんはなぜ時代小説が好きか (ことばのために)

おじさんはなぜ時代小説が好きか (ことばのために)