異色作家短編集 マルセル・エイメ『壁抜け男』

壁抜け男 (異色作家短篇集)

壁抜け男 (異色作家短篇集)


フランスでは国民的作家らしいマルセル・エイメ。
表題作「壁抜け男」は、役所勤めの平凡な主人公が、ある日突然、壁を抜ける能力に目覚める話。わりと不条理だけど、どこか明るい読後感。
本書収録の他の短編も同じような味を持っている。
「暗いけど、なんだか明るい」感覚が、フランスで広く読まれてる理由なんだと思う。


ただ、短編のひとつ「パリ横断」はちょっと異質。他と比べて圧倒的に暗い話だ。
「パリ横断」は中公文庫の『マルセル・エメ傑作短編集』にも入ってたと思う。
『マルセル・エメ傑作短編集』の収録策のほうが全体的に暗く、不条理な短編が多い。
大人向け。


(久)