谷川流『涼宮ハルヒの消失』

日曜から出張。継続は力なり。

さて今週の一冊。

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

物語を、重ねて重ねて、第4巻。
内容は語り手・キョンが、“いつもの非日常”と違う“何にもない日常”に放り出され狼狽するお話。
下馬評に於いては、ダントツでファン(特に長門スキー)の評価の高い一冊です。
それもその筈で、

タイムパラドックス異世界論を軸にし、容易な言葉でありながら丁寧に論理構築されたSF性。
主人公が問題に直面し、これまでの歩みを省み、悩み、そして決断を下すというジュブナイル性。
“いつも”と違う状況下によって発生する人物達の“別の一面”を“魅”せるキャラクターコンテンツ性。

この3つが恐るべきバランスで組み合わさり、ひとつの物語を紡いでおり、完成度が高いです。
特にこの作者、その伏線の張り方、そして回収手腕は、計算かセンスかは判じられませんが神懸っています。
それはこの巻だけで完結するものではなく、前3冊があってこその、この4巻と言えます。
更に言えばシリーズ化を前提にすることが多い、ライトノベルという土壌だから発生したとも言えるでしょう。
故にシリーズの積み上げた先にあるもの―――「最終回」の一形態とも言えます(ドラえもん6巻のような)。
まぁそれでも、伏線候補はまだまだありますし、伏線の第一次大回収を終え、次の巻からまたじわりじわりと積み重ねられていくのですが。
ハルヒシリーズ」を語るには欠かせない一冊です。

蛇足
・今更ですが、今週は「ハルヒ」強化週間です。
・この巻から古泉ファン、朝倉ファンが増えたという噂も…。
・ちなみに、この作中TRPGをやってる記述あり。ちょっと嬉しい。(F)