箱舟の航海日誌

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)


昔々、トラもウサギもガチョウもキリンも動物たちはみんな仲良くおいしい果物だけを食べて暮らしていたんだけど、ある日突然大雨が降ってきて、ノアの作った箱舟に乗り込んだ瞬間からなんだかおかしくなり始めたんだ。
箱舟に乗った仲間の中でただ一人、同胞を食い殺したことのある動物・スカブ。隅にうずくまって誰とも話さず、その必要のあるときだけは妙に慇懃な態度で接するあやしいスカブは、お馬鹿で無垢な動物たちに、だんだんとだんだんと影響を与えていくんだ。


しっかし、イギリス人は相変わらずすごいなぁ。
こんなさぁ、「イノセンスな生き物たちに原罪が浸透していく不気味さ」を書いた物語が、児童小説なんだぜ?
おっそろしいなあ。



(久)