今市子『百鬼夜行抄』

風邪をひくし、メールが届いてないし、急遽Uターン帰宅したり…

さて、今週の一冊。

百鬼夜行抄 (1) (ソノラマコミック文庫)

百鬼夜行抄 (1) (ソノラマコミック文庫)

ジャンルはホラー。見ようによってはミステリーです。
霊感が強く、常人のには見えないものが見えてしまう青年を取り巻く人々と妖魔の物語。
混沌とした世界観を呈しており、人=善、妖魔=悪のような勧善懲悪的なものではなく、
かと言って、お化けと単純に仲良くする様な話ではない。
互いの領域が重なってしまって起きる悲喜劇を描くことが多いです。
人死にはあっさり起きるし、人間にとって不幸な終わり方をすることもしばしば。
かと、思えば絵に描いた様な大団円もあり、最後まで物語がどうなるかが分らない。
この辺りの構成は、淡白な絵のトーンと実に合うと思います。
個人的に、この作品の特徴は、主人公が何を考えているのかが極力、伏せられていること。
本来、感情移入すべき主人公と同調出来ないことが、漠然とした違和感を与え、
先の見えないホラーらしい独自の空気を生んでいるのではないかと。
あと、妖魔に関する解説が、下手に畏まった(1コマコラムみたいな)ものではなく、自然に描写されるのも高評価です。

蛇足
・入手は探せば手に入るレベル。現15巻まで。なお続刊中。
・他、関連メディアが沢山だとか。
・TVドラマ化したそうです。
・これ実写でするの大変だと思うのですが…。(F)