F・ポール・ウィルスン『ホログラム街の女』

面倒事に対して、割に合わないだのなんだのと文句を言いつつ、関わるお人よしの話という説。

ホログラム街の女 (ハヤカワ文庫SF)

ホログラム街の女 (ハヤカワ文庫SF)

あらすじに拠れば、ハードボイルドSF。ただし、B級の。
遠い未来、ジャンプスーツに身を包んだ探偵が、メガロポリスで起こる謎を追い、高度科学社会の闇部を暴くというノリ。

SFは演出レベル、ハードボイルドと言いつつ、全体的に“おセンチ”なストーリー、せめてミステリ成分はと期待しても、ややご都合主義な点があるのは否めない。よくあるネタで、よくあるキャラで、よくあるお話。故にB級。

でも、B級で何が悪い、とも(誰も悪いとは言ってない)。
エンタメと考えるなら十二分だし、病的にバッドエンドにするのもなんだし、第一独創性に走った結果ツマラナイなら、大半の人々(そのジャンルに執着しない人)にとっては価値がない。

なので、何事もバランスですよと、中庸なことを言って言葉を濁すのみ。
肝心なことを言えば面白かった、の一言なのですが。
あ、でもトレンチコートが出てこなかったので私個人としては減点1です。


蛇足
・図書館で拾って読破。息抜きに丁度良い。
・先週の宣言どおりSF。レポートラッシュ中なので薄い本をチョイス。
・著者は本来ホラー畑の人。変化球の名手がいきなり剛速球を投げた具合。
・とは言えど、これぞA級だ!という本を聞いたことがない。怪談『牛の首』?。
・や、トレンチコートはロマンですよ(ぉ