川端裕人『今ここにいるぼくらは』

今ここにいるぼくらは

今ここにいるぼくらは


作者のブログを見ていたらこんな記事が




リスクテイカーの頃の古いカワバタが好き、というコメントをたてつづけにもらう。リアルライフでネット巡回の中で。
そうか、もうあれは「古い」のだなあと感慨にふける。
そういうのがバリバリ売れればもっと書けるんですが……もっと書かせて下さい! とお願いしておく。

とりあえずは、疫学ものが久々の「それっぽい」ものになりそうな気配だが、来年こそはなんとか、だ。
ほんと、書き下ろしはつらい。

http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/11/post_35fa.html#more




『今ここにいるぼくらは』は「新しいカワバタ」。だけど、底にあるものは、他の作品と同じだ。
大阪から東京に引っ越してきた小学生の成長のお話。大都会トーキョーに越したはずなのに、その東京が実に田舎なんだ。
主人公である「ハカセくん」は、川の源流を見つけるために川をさかのぼったり、ひょうたん池でヌシを釣ったり、里山でクワガタを取ったり。
そして、「ハカセくん」が出会う癖のある友人。アウトサイダーな大人たち。
時には人の死に触れ、転校生に恋をして。
そういった経験を通し、心も体も、だんだんと大人になっていくのだなぁ……、と共感して感慨に耽っていたのに、魅力的なアウトサイダー「セイジさん」が大麻を栽培しているシーンには爆笑してしまったよ。しまいにゃ、逮捕されちゃうし。ぶち壊しだよ、もう! 
閑話休題。なんにせよ「理科好きの少年」だった人ならば、論理じゃなくて感覚として、うんうん頷きながら読めるはず。同時に、自分に子供が出来たとき、もう一度読み返したいというおもしろさもある。。

あと「疫学もの」に大期待。待ってます。



(久)