クリストファー・バックリー『ニコチン・ウォーズ』

ニコチン・ウォーズ (創元推理文庫)

ニコチン・ウォーズ (創元推理文庫)


ニックはタバコ業界のロビイスト。毎日禁煙団体や保険組合との論戦に明け暮れている。そんなある日、テレビ番組の収録中、ニックを指名した殺害予告の電話がかかってくる。気にしない振りをしてタバコの宣伝に励むニックだったが、本当に誘拐されてしまって……。


この作者は口から生まれてきたんじゃなかろうか。そう思わせるほどの饒舌な文体。そしてアホウな話。特にニックの処刑方法には大笑いしてしまった。もちろん、禁煙だとか喫煙だとか、宣伝に振り回されることの愚かさこそが大事なテーマなんだろうけど、そんなこと気にせず笑って読めばいい小説だと思う。ただし、あのオチはいただけない。ニックはそれでいいかもしれないけど、本気で生きてる人たちを馬鹿にしすぎだよ、あのオチは。


(久)