マイケル グレゴリオ『純粋理性批判殺人事件』

純粋理性批判殺人事件〈上〉 (角川文庫)

純粋理性批判殺人事件〈上〉 (角川文庫)

意外と読み進まないのでまだ上巻だけしか読んでません。
タイトル買いというか、実物買うまでどこぞのバカミスの類だと思っていたんだけど実際には海外の経歴不詳新人作家の作品だった。
ただ、歴史ミステリーっていえば聞こえはいいけれど下手するとただセンセーショナルなタイトルとカントの名前を出したかっただけとも言えなくも無い。
今の所はね。

舞台はカントの住むケーニヒスベルク、ナポレオンが来るか否かに揺れる18世紀から19世紀に駆けた時代。
奇妙な連続殺人が起きるまでは普通なのだが、嫌に当時の憲兵の雰囲気などが出ていて事件よりも目がいってしまう。
容疑者の収容所で容疑者殴られすぎ、判事の尋問の時も判事殴りすぎ。
容疑で逮捕の段階で憲兵に殴られてそれを苦にして自殺とかこんなミステリ初めてだ。
歴史の部分は生活描写から当時の時代情勢まで非常に細やかに描かれている。
少なくとも、それっぽく描かれていて啓蒙専制君主統治下の都市に興味が沸けばそれだけでも面白い。
この時期のカント先生の扱われ方なども新鮮に感じられた。