島尾敏雄「摩天楼」


夢の中で見る市街のイメージを緻密に書き綴った短編。
読み進めるうち、読者の頭の中には、陰影に富んでおり、かつモヤモヤっとしているその夢の市街のイメージが、立体的な感触を伴って立ち上っていく。
夢の中の市街の描写は非常に魅力的だ。特にどこまで続いているかわからないほど高い塔を上るシーンは、たまらない。
この短編は澁澤龍彦編の日本幻想文学アンソロジー『暗黒のメルヘン』に収録されている。


暗黒のメルヘン (河出文庫)

暗黒のメルヘン (河出文庫)


(鈴)