東洋大学OBの探偵小説を読む

kubokiです。さいきん探偵小説読んでます。時流をがっちり掴みますよ、わたしは。で、今回はこれ。


不連続殺人事件 (角川文庫クラシックス さ 2-3)

不連続殺人事件 (角川文庫クラシックス さ 2-3)


おもしろかったぁ。しかし、うーむ……。前回の大坪砂男につづいてまた画像のリンクがないじゃない。どうなってるんだ。 
坂口安吾『不連続殺人事件』は昭和22年〜23年にかけて雑誌『日本小説』に連載され、その年の第二回探偵作家クラブ賞を本書の解説を担当する高木彬光をおさえ受賞しました。ついでに第一回受賞作は横溝正史本陣殺人事件 (角川文庫)』。
『本陣殺人事件』が「日本の風土にそぐわないと思われた本格推理をマッチさせた作品」(山田風太郎)だとしたら、この『不連続殺人事件』は「日本の風土を完全に使い切った作品」でしょうか。風土というか、性質かな? 本作のキモは、糸やら電車やら賢しらなトリックにはいっさいあらず。高木彬光が評すとおり「心理トリックである。(中略)ストーリー全体が一つの大トリックとなっている」なのです。言いえて妙、安吾の筆力もあいまって、読者はいやがおうにもこの心理トリックに巻き取られていくわけですな。




坂口安吾東洋大学創始者井上円了と並ぶ2大OB、2大変人です。安吾は大学一年生の頃「精神の限界に挑戦する!!」と宣言し、一日4時間睡眠で過ごします。よくわかりませんねえ。そして、あえなくというか当然というか、神経衰弱にかかってしまいます。しかし! サンスクリット語を、名詞形容詞が勝手気ままに変化し辞書を引くことすら難しいと言われるあのサンスクリット語を完全マスターし、神経衰弱をのりこえるのです。すごい! 
同級生にいたらカンペキ惚れてますワ。