荻野目慶子『女優の夜』

女優の夜

女優の夜


この本は、凄くおもしろい。
久しぶりに、読書を堪能したというか、本の世界にどっぷり浸かれた感じです。
荻野目慶子が不倫相手の映画監督に自殺されて、精神を病んで、それでもまた他の映画監督と不倫して、そして年を取るにしたがって段々と回復していくまでの軌跡、というか自伝ですね。
この自殺した映画監督が凄く嫌なヤツで、ベタな文学青年崩れみたいな、太宰治と自分自身を重ね合わせてるみたいな人なんだけど、そうした自分の趣味に何の疑いも持たず、3,40年生きていけば、それなりに貫禄がつくというか、完成された人間になっていくんだな、とか思いましたね。
なんと言うか、文章に念が篭っていて、言葉の力を強く感じました。

(鈴)