久住昌之, 谷口ジロー『孤独のグルメ』

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

あっちには今更VPにはまっている人がいるようだけどこっちも今更エリーのアトリエをやり直しているから人の事は言えないな。


この漫画を挙げるだけでこの夏に私が何処に入り浸っていたのかを告白するようなものであるが、とにかく買ってしまった。
文庫の所に無いと思ったら谷口ジローで棚を取って売っているジュンク堂はホント素敵な本屋ですわ。

手にとってみると予想以上に薄く、中を見てみると一話に対して10頁も枚数が無い。
にも拘らず読んでいる間の引き込まれ具合は異様といっていい。
とにかくお腹が減る。読む前に食事の用意をしておく必要がある。
近くに食べに行くのもいい。これを読んだ後ならどんな店でも美味しく頂けるに違いない。


どの話も2頁目には腹が減っていると言って入るのがこの本の方向性の一貫性を表しているといっていい。
薀蓄語るわけでも大げさなリアクションするわけでも料理するわけでもなく、ただ一人ぶらりと見知らぬ町で見かけた飯屋に腹の具合に身を任せて寄って飯を食う。
傍から見れば一人無言でもそもそ食うだけであるが、その言いようも無い奇妙な満足感を見事表現しているのは読んでいて面白い。
自分も全く前情報の無いで入った小さな食堂で食べる時などには実に何ともいえないが悪くない気分になるので共感するところがあった。
でも流れるように鮮やかなアームロックは流石に酷いと思うがね。

ああ、兎に角腹が減ってきた。
夜中だというのに。